2014年10月4日に開催された日本蝶類学会(フジミドリシジミ)臨時理事会において新会長候補として推薦され、同日の臨時会員総会において承認され、会長に就任いたしました。
これに先立って同じ会員総会において、2014年11月1日より学会の団体名称および会誌名称がそれぞれ日本蝶類科学学会およびバタフライ・サイエンスに変更されることが決まりました。これまでのように、法的に和解し分裂、併存となったものの、同名の団体・会誌が2つ存在していることは、論文の引用の際に混乱を招くこととなり、またいつまでも抗争が続いているとの誤解を生じかねない状況でありました。そこで、今回の団体名および会誌の名称変更により、そのような弊害を一掃し、心機一転して会の活動を継続、進展させることになりました。
この節目の時に会長に推薦するとの運営委員会からの非公式の打診があった時には正直とまどいました。ただただチョウの採集が好きと言うことで趣味を楽しんできただけで、蝶類の研究の実績は乏しく、歴代会長の諸氏と比べれば違いは歴然であり、会の役員、会員諸氏の中にははるかに適任な方々がおられると思います。しかし、再度の要請があるにおよび、これは運営委員諸氏としてのお考えがあってのことと理解し、お引き受けすることにしました。これまで多くの同好の会員の方々の支援、助言によって楽しませて頂いて来たので、少しなりとも会と会員の皆様のためにお役に立つことが出来ればよいと思っております。
団体・会誌の名称は変わりましたが、会の「目的」とそのための「活動内容」に変更はありません。「目的」では、蝶類および関連する研究の推進、知識の普及および会員相互の親睦がうたわれています。昨今のわれわれ蝶屋をとりまく環境の厳しさを考えると、健全な蝶の趣味の普及(復権?)にも会として努力する必要があるように思います。また、「活動内容」では、名称を「バタフライ・サイエンス」と変更した会誌を名称にふさわしく充実させなければなりません。掲載論文の審査については、一般の学術雑誌のように厳格にする必要はないとしても、時には編集委員のみならず会員諸氏を煩わせるくらいの姿勢が必要かも知れません。とは言っても、採集、観察、蒐集などの楽しい読み物を掲載し、その楽しさを会員相互で共有することも会誌の役割の一つと思います。会員諸氏には奮って執筆、投稿していただきたいと思います。
会員のみなさまのそれぞれの視点からの活発な活動があってこそ会が発展すると思います。そのために、理事、運営委員のみなさまの支援、助言により、私としてもいささかなりとも努力したいと思う次第です。
日本蝶類科学学会会長 伊藤建夫(いとうたてお)
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